耐火・防火コート・・・・・硬質ウレタンフォームとの複合不燃材
発泡ウレタンについて
現在、高度な断熱性能を求められる低温・定温倉庫や寒冷地の建物のみならず、温暖な地区においても結露防止、冷房効率アップ等の要求から有機断熱材が幅広く使用されております。
なかでも発泡ウレタンは他の有機断熱材と比べ特に優れた断熱性と施工性があることから、いろいろな建物に数多く使用されております。
建築基準法、内装制限について
建築防火には①出火の危険率を低くする ②出火しても火の拡大には繋がらない ③安全で円滑な避難が出来ると言う要件があります。
室内側からの出火があった場合、最初に火が接触するのは内装仕上げ材料であるため建造物の用途、規模、仕様等により不燃材料仕上げ、準不燃材料仕上げ等の規定が内装制限により設けられております。
以上のことから内装制限において不燃材料、準不燃材料による仕上げが義務づけられている場合、発泡ウレタンを室内側に表しにすることは出来ません。
また不燃材料、準不燃材料【一般呼称防火・耐火コート等】を発泡ウレタン上に直接塗布している場合がありますが、その工法では不燃材料、準不燃材料としての仕上げとはなりません。
不燃材料、準不燃材料等の規定は現在、法定不燃材(=コンクリート、石膏、または鉄鋼等)を下地としての認定・指定であり、そのものの単体、また発泡ウレタン等の断熱材を下地として使用した場合には認定・指定番号等は使用出来ません。
防火材料とは
主として建築物の仕上げ(化粧)材料として使用される事を目的として定められた材料であり、防火性能により不燃材料、準不燃材料、難燃材料、準難燃材料に区分されております。
防火材料の定義
不燃材料=燃焼したり、有害ガスが発生しない材料。コンクリート、鉄鋼、モルタル等。
準不燃材料=不燃材料に規定された少量の有機材を混入した材料。木毛セメント板等。
難燃材料=元々燃える材料を燃えにくいように加工した材料。アルミ板、特殊合板等。
準難燃材料=発煙、溶融、有害ガス発生以外は難燃材料と同じ材料。強化ポリエステル板。
現在では、建築物の外部に面する屋外側には断熱材が施工されています。
発泡ウレタン等の有機断熱材は燃えるものなので、どんなに燃えないようにしてもそれは難燃材料にしかなりません。
そこで、建築材料にはそれぞれ長所・短所が有り、それをうまく組み合わせるのが知恵ではないでしょうか。
現状では、有機断熱材と異質な防火材料とを組合せて不燃材料仕上げ、準不燃材料仕上げと同等の性能があるかどうかをみる判断基準(試験)もないのが実情です。
防火材料の試験方法及び判断基準(難燃性試験)
区分 | 不燃材料 | 準不燃材料 | 難燃材料 | 準難燃材料 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
表面試験 | 試験体 | 縦横それぞれ22cm:厚さは実際のものと同一(3体) | ||||
加熱時間 | 標準加熱曲線で10分間 | 同左 | 標準加熱曲線で6分間 | 同左 | ||
判定項目 | 試験体排気温度 | 標準温度曲線をこえないこと | 試験開始後3分以内に標準温度曲線をこえないこと | |||
温度時間面積(℃・分) | 0 | 100以下 | 350以下 | 同左 | ||
発煙係数(CA) | 30以下 | 60以下 | 120以下 | |||
溶融 | 試験体の全厚にわたる溶融のないこと | |||||
亀裂 | 試験体の裏面に達する亀裂で幅が板厚の1/10以上のもののないこと | |||||
残炎 | 加熱終了後30秒以上の残炎がないこと | |||||
その他 | 防炎上著しく有害な変形、避難上著しく有害なガスの発生のないこと | 防炎上著しく有害な変形がないこと | 基材試験 | 試験体 | 縦横それぞれ4cm、厚さ5cm(薄いものは積層)(3体) | |
加熱時間 | 予め750℃に30分間以上安定できるように調節された炉内で20分間 | |||||
判定 | 調節温度より50℃を超えないこと | |||||
穿孔試験 | 試験体 | 縦横それぞれ22cm:厚さは実際のものと同一とし、直径2.5cmの貫通孔を3個設けたもの(3体) | ||||
加熱時間 | 標準加熱曲線で10分間 | |||||
判定項目 | 温度時間面積(℃・分) | 150以下 | ||||
発煙係数(CA) | 60以下 | |||||
残炎 | 加熱終了後90秒以上の残炎がないこと | |||||
有害ガス性試験 | 試験体 | 縦横それぞれ22cm:厚さは実際のものと同一(2体) | ||||
加熱時間 | 標準加熱曲線で6分間 | 同左 | ||||
判定 | 各試験体のマウスの平均行動停止時間Xsがラワンのマウスの平均行動停止時間より大きい場合を合格とする | |||||
模型箱試験 | 判定 |
イ.発熱温度Qtの点火後15分間における最大値が170キロジュール/秒以下であること ロ.点火後15分間の合計発熱量Qtが5万キロジュール以下であること |
難燃性試験はあくまでその材料(下地は法定不燃材限定)が燃える物なのか燃えづらい防火材料なのかを見ることを目的としています。
発泡ウレタン自体は120℃以上になると変形していきます。
上記のような試験に合格した物を発泡ウレタン上に直接施工して、果たして10分間でも加熱から耐えられるのでしょうか。
発泡ウレタンとある防火材料を組合せた工法で、実際の火災にどれぐらい耐えられるか性能を見る為には、構造試験として申請し、試験をするほうが適していると考えます。
耐火構造試験とは
建築基準法により建築物は用地、用途、規模等により耐火構造物、準耐火構造物等にしなければならない場合があります。
また部位、階数等によって耐火性能の求められる時間が規定されております。
建築物の階数と必要な耐火時間(建築基準法施行令)
部位 | 柱 | はり | 間仕切壁 | 外壁 | 屋根 | 床 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
耐力壁 | 非耐力壁 | |||||||
延焼の恐れのある部分 | 延焼の恐れのない部分 | |||||||
最上階から数えた建築物の階数 | ||||||||
~4 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 1時間 | 30分 | 30分 | 1時間 | 5~14 | 2時間 | 2時間 | 2時間 | 2時間 | 1時間 | 30分 | 2時間 |
15以上 | 3時間 | 3時間 | 2時間 | 2時間 | 1時間 | 30分 | 2時間 |
耐火被覆材とは
耐火被覆材とはその工法における構造体の耐力を規定時間維持させる材料のことをいいます。
建物を建てる場合にはいろいろな工法がありますが、例えば屋根の場合には、その工法で作った屋根は30分間火災から構造体として耐えられなければいけないということです。
耐火構造試験では、試供体により判断基準が異なります。
例えばコンクリートで造る屋根と鉄鋼で造る屋根では耐熱温度が違います。
840℃の過熱(30分後)に対しコンクリート造試供体の裏面温度(加熱面側)は最高550℃以下であれば良いのに比べ、鉄鋼造試供体の裏面温度は最高500℃かつ平均400℃以下であることと厳しくなります。
日本の耐火構造試験は、他の防火試験に比べ非常に厳しい水準を求められています。
キクスイ 不燃コートについて
現場発泡ウレタンの複合不燃化工法
特徴
- 全国消防長会からの要望書に応えるため開発された湿式工法による不燃材です。
- ウレタンフォーム施工部位での溶接・溶断火花の飛び火による火災事故を防止します。
- 火災時における急速な燃焼(爆燃現象)からの逃げ遅れ一酸化炭素中毒の防止対策になります。
- 従来の着火防止工法・防火コートとは違い、躯体とウレタンフォームと合わせて構造体として不燃認定を取得
- 断熱材を現しに出来ます。(天井材を張らないデザインが可能です。)
用途
- 火災による被害が、心配される施設の火災防止対策として
- 商業施設・公共施設・娯楽施設・病院・老人ホーム・倉庫・冷温倉庫等
- 現場発泡ウレタンに被覆することで複合不燃化が可能です。
キクスイ 不燃コートの基本情報
認定・性能 | ホルムアルデヒド放散等級 | F☆☆☆☆ |
---|---|---|
防火認定 | 不燃材料/難燃材料 | |
認定番号 | NM-3937/RM-0050 | |
仕様 | 厚み(mm) | 10~30 |
組成 | セメント断熱材 | |
希釈液 | 清水 | |
価格・施工形式 | 荷姿 |
クスイ不燃コート:20kg/袋 キクスイ不燃コートプライマー:16kg/缶 |
所要量 |
<下塗り> <主材塗り> |
|
施工方法 | 吹付け/こて塗り | |
施工器具 | モルタルポンプ/ホッパーガン/こて等 |
タイカ・アロックについて
タイカ・アロックの厚み10mmで受けた耐火構造試験は、鉄鋼造の屋根なので加熱時の鉄鋼裏面温度は平均400℃以下で良いことになりますが、鉄鋼とタイカ・アロックの間に吹き付けられている発泡ウレタン自体が約120℃を超えると変形していきますので、840℃の過熱(30分後)に対し120℃以下に抑えることが必要でした。
≪タイカ・アロックの特徴≫
- 優れた耐火性能
日本初の発泡ウレタン上の耐火指定・施工厚みは10mm。
- シームレスな耐火層
現場吹付け工法により、シームレスな耐火層が可能。
- 工期短縮
施工厚みが10㎜と薄く、またポンプによる連続吹付けが可能な為、工期の短縮につながります。
- 環境衛生上安全
硬化後は粉麈の発生がほとんどありません。
タイカ・アロック、不燃コート共にはロックウールを含有しておりません。
また、アスベスト等の有害といわれているものも一切含んでおりません。
- 鉄骨の耐火被覆に
鉄骨梁、柱の耐火指定(1時間耐火15㎜厚等)も取っております。
優れた性能、意匠性につきましては別途製品カタログをご請求ください。
タイカ・アロック品質管理
【責任施工について】
タイカ・アロックはスチライト工業株式会社またはスチライト工業株式会社が指定する施工代理店(タイカ・アロック工業会会員)が責任施工・管理致します。
【被覆厚さについて】
施工されたタイカ・アロック面に針状の厚さゲージを差し込みます。
【国土交通大臣指定表示について】
国土交通大臣指定のタイカ・アロック梱包袋には、下記が表示されております。
製造会社 | : スチライト工業株式会社 |
商品名 | : タイカ・アロックR-30 |
大臣指定番号 | : FP030RF-9251 |